しょぼい起業で生きていく(著者:えらいてんちょう さん)

はじめに

退職して少し経つと、

ふとした瞬間に
手が止まることがあります。

朝のコーヒーを淹れているとき。

散歩の途中、ベンチに座ったとき。

テレビをぼんやり眺めているとき。

「この先、どうやって
暮らしていくんだろう」

別に深刻に悩んでいるわけでもない。

でも、考えないようにしても、

頭のすみっこに
ずっと居座っている感じ。

この本との出会い

この本のタイトルが目にとまりました。

『しょぼい起業で生きていく』。

正直、タイトルに面食らいました。

「しょぼい」って。

でも、なぜか気になって手に取った。

見ると4刷と書いてある。
けっこう売れているのかな。

著者は、就職活動もせずに
起業した若い人。

自分とは世代も境遇もまるで違う。

それでも、パラパラとめくっているうちに

「ちょっと読んでみようか」
という気持ちになりました。

読んでみて感じたこと

読み終えて残ったのは、

ノウハウや具体的な手順では
ありませんでした。

もっとぼんやりした、

でも確かに感じる
「空気の変化」のようなものです。

ひとつめは、

「お金に執着しなくてもいいんだな」
ということ。

読んでいて気づいたのですが、

自分はずっと「稼がなきゃ」

「収入がなきゃ」と
思い込んでいた。

年金だけでやっていけるのか、
貯金はいつまで持つのか。

そういう数字のことばかり
考えていた。

でもこの本の人は、
お金そのものよりも

「日々の暮らしをどう回すか」の
ほうに目を向けている。

その視点が、なんだか新鮮でした。

ふたつめは、

「雇われて働く以外の道も、
意外とあるんだな」ということ。

会社を辞めたら

「再就職」か「何もしない」か、
そのどちらかだと思っていました。

でも、その間にはもっと
いろんなグラデーションがあるらしい。

大げさなことじゃなくて、

自分の持っているもので

小さく何かを始める。

そんな選択肢があることに、
頭のどこかで気がついた感じです。

みっつめは、

「まあ、なんか始められそうだな」
という気分になれたこと。

具体的に何をするかは
決まっていません。

でも、読む前と読んだあとで、

漠然とした不安の色が
少し薄くなった気がする。

それだけでも、

この本を手に取った意味は
あったのかもしれません。

こんな方に届くといいな

もし、退職してから

なんとなく気持ちが
落ち着かない方がいたら。

あるいは、

「この先のお金のこと」を考えるたびに

胸がざわつく方がいたら。

この本は、
答えをくれるわけではありません。

「こうすればうまくいく」と
教えてくれる本でもない。

ただ、

「そんなに気負わなくてもいいんだ」と

思える空気が流れている一冊です。

起業の本だけれど、

起業したい人だけの本ではないと思います。

定年後の暮らしの中で

「これからどうしよう」と静かに考えている方が読んでも、

何かしら心に残るものが
あるんじゃないかな、と感じました。

書籍情報

タイトルしょぼい起業で生きていく
著者えらいてんちょう
出版社イースト・プレス
発売日2018年12月15日
価格1,430円(税込)

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