はじめに
ふとした瞬間に、
この先のお金のことが頭をよぎる。
たとえば、
スーパーで値札を見たとき。
あるいは、
同僚が「再雇用ってどうなんだろう」と
つぶやいたとき。
はっきりした不安ではないけれど、
なんとなく落ち着かない気持ちが
胸のあたりに居座っている。
年金がいくらもらえるか、
退職金でどうにかなるのか。
投資は気になるけど、
何から手をつければいいか分からない。
そんな「ぼんやりした不安」だけが、
じわじわ大きくなっていく。
誰かに相談するほどでもない。
でも、ひとりで抱えていると少し重い。

この本との出会い
著者の「定年ひとり起業」を読み、
この本も書かれているのを知ったので、
手に取ってみました。
定年前後のお金の話を、
実際に起業した著者の経験をもとに
書いた本です。
タイトルに「マネー編」とあったので、
最初は投資のハウツーかなと思いました。
でも、手に取ってページをめくると、
どうやら話はそれだけではなさそうで。
働き方のことも、年金のことも、
暮らし方のことも、まるごと扱っている。
肩に力が入りすぎない語り口に引かれて、
読んでみることにしました。
読んでみて感じたこと
読みながら、
いくつかの小さな気づきがありました。
ひとつは、
「長く働くこと」が持つ意味について。
定年のあとも何かしらの形で
働き続けるという話は、
ただお金を稼ぐためだけではなかった。
生活のリズム、人とのつながり、
心身の張り。
そういうものを保つ手段として
語られていて、なるほどなと思いました。
無理に頑張れということではなく、
好きなことを少しずつ
仕事にしていくという考え方に、
ほっとした気持ちになった。
もうひとつは、
年金や投資について。
正直なところ、年金制度の話や
積立投資の話が出てくると
身構えてしまう自分がいました。
でも、著者自身が試行錯誤してきた過程が
率直に書かれていたので、
不思議とすんなり読めました。
「働き続けること」と
「年金をうまく受け取ること」と
「コツコツ投資すること」。
この三つが別々ではなく、
つながったひとつの道筋として見えてきたとき、
「今後、どうにかなるかもしれないな」
という気持ちが自然と湧いてきました。
それは確信というほど
強いものではありません。
でも、漠然としていた不安に、
少しだけ輪郭が与えられた感覚です。
何をどう考えればいいか、
手がかりのようなものが見えた。
それだけで、
気持ちがずいぶん楽になりました。
こんな方に届くといいな
もし、定年が視野に入ってきて、
お金のことがなんとなく
気になっているのなら。
具体的に何が不安なのか、
自分でもうまく言葉にできないような、
ふわっとした心配を
抱えているようなとき。
この本は、答えをくれるというより、
「考える順番」を整理してくれるような
存在かもしれません。
投資の専門書でもなければ、
節約術の本でもない。
働くこと、受け取ること、備えること。
その三つのバランスを、
自分なりに考えてみたいなと
思えるきっかけになりそうです。
肩の力を抜いて、
ページをめくれる一冊だと思います。
書籍情報
| タイトル | 定年後のお金の不安を 解消するならこの1冊! 定年ひとり起業 マネー編 |
| 著者 | 大杉潤 |
| 出版社 | 自由国民社 |
| 発売日 | 2022年3月30日 |
| 価格 | 1,595円(税込) |
「そのさきBOOKS」は、
定年前後の暮らしのなかで出会った本を
静かに紹介するシリーズです。
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